本屋さんで本を手に取るとき、誰しも「この本を読んでいる自分」というものを想像するはずです。そして思うはずです「これ読んでたらカッコいいだろうなあ」と。
メガネもファッションとして「アイウェア」と呼ばれている時代です。それならば読書だってファッションとして捉えて、イキるために読んでみてもいいのではないでしょうか。
そこで今回は、僕が独断と偏見で「イキるなら、この本でイキれ!」と何冊かを選んでみました。また、読書における「イキり方」も合わせて考えてみましたので、これを読んで、みなさんもドヤ顔で電車内やカフェ、学校やオフィスなどで本を開いてみましょう。きっと素敵な読書ライフが訪れるはずです。
~はじめに~
読書というものは、どうしてもインドア、ネクラ、変わり者といったイメージがつきまといます。今回の狙いはそのイメージを払拭し、オシャレでスタイリッシュな読書を提案することです。なのでもしかしたら「てめえ、この作品(作家)を馬鹿にしてんのか」と違う方向でイキってしまう方もいるかもわかりませんが、決してそのような意図ではなく、今までとは違う考え方、捉え方をしていきたい、という思いからのものですので、どうかご容赦願います。
~オシャレな読書のしかた~
家にいてはなににもなりません。とにかく外へ出ましょう。「書を持ち、町へ出よ」というわけです。外へ出たら、カフェで読書というのが一般的です。しかし、僕が推したい読みかたは「待ち合わせのときに読んでいる」です。
少なくとも30分前には集合場所へ着き、そこで本を開いて待つ。心の余裕のあらわれですね。そして「多少遅れても別に構わないよ」感も出ますので、相手にも思いやることができます。まさにスタイリッシュ。
~ビッキー・ホリディの選ぶ「オシャレな本」~
読書家というのは、通ぶりたくなってくると怪奇・幻想・ナンセンスを選んでしまいがちです。「パノラマ島綺譚」「ドグラ・マグラ」「家畜人ヤプー」など。これはオシャレとは程遠いです。こういう本は家でこっそりと読みましょう。わざわざ外へ出て読むものではありません。
そこでまずはこの一冊。
伊坂幸太郎「死神の精度」。まずは伊坂幸太郎というネームバリュー。軽妙な語り口、ユニークな登場人物が人気のまさにスタイリッシュな作家です。そしてタイトル。カッコいいですね。「なに読んでるの?」「え、死神の精度だけど」。素晴らしい。理想的な本です。本を普段読まない人なら、タイトルだけでもうあなたを見る目が変わるでしょう。ドンドンイキってください。
ちなみに自称読書家の人には「いやあ、前からこの作家気になってて、最近読み始めたんだよね」と言っておくのが無難です。
次に村上春樹「スプートニクの恋人」。でました!ザ・シャレヲツ!村上春樹!その知名度は圧倒的です。ですので、この作家の場合はややマイナーな作品を選ぶのがいいでしょう。ヘタに「ノルウェイの森」とか読んでいたら「プッ、初心者め」と笑われるでしょう。楽器屋でギターの試奏するときに「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフを弾くようなものです。「どんな内容なの?」と聞かれたら、「よくわかんないけど、とりあえず恋愛モノだね」と言っておきましょう。この作家の作品の内相を端的に述べるのは少し危ないです。相手がいわゆるハルキストの場合は「いや、この作品はそういった意図では書かれていないよ、つまり……」とペラペラ喋り始めます。「メタファー」と言い始めたら「へえ、そうなんだ」と言っておきましょう。
最後に紹介するのが、カズオ・イシグロ「日の名残り」。名前は日本人っぽいですが、イギリスの作家です。イギリスってだけでもう、イキれますね。しかもブッカー賞というイギリスの文学賞で、世界的にも権威のある賞を取った作品ですので、もうイキりたいだけイキってください。内容も執事が短い旅に出て、仕事のことやイギリス文化のことなどに思いをはせる、という内容ですので、これ読んでデートの待ち合わせなんかした日には、出会って3秒でヤれますよ!ガンガンいこうぜ!
以上でこの話は終わりですが、最後にひとつ注意点があります。
ブックカバーはつけないようにしましょう。表紙を見せてナンボですからね。
さあ、これであなたもファッションリーダー(Fashion Reader)の仲間入り!!
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