終わりだ、終わりだ、と彼は言っていた。
終わりだ、終わりだ、と言いながら、彼はトーストにマーガリンを塗っていた。
なにが終わりなんだ?とおれは彼に訊いた。
「この世界が、だよ」
終わりだ、終わりだ、と彼は言っていた。
終わりだ、終わりだ、と言いながら、彼は髭を剃っていた。
おれは新聞を読んでいた。
彼はスーツに着替えていた。
おれは彼が家を出ていくのを見送った。
世界の終わりに、どこへ行くのだろう。
おれには行くべき場所も、帰るべき場所もなかった。
かれはいつものように、いつもの時間に家を出た。
もうおしまいだ、と彼は言っていた。
もうおしまいだ、と言いながら彼はネクタイを外した。
なにが終わりなんだ?とおれは訊いた。
「この世界が、だよ」
終わりだ、終わりだ、と彼は言っていた。
終わりだ、終わりだ、と言いながら、彼は寝室へ入っていった。
おれはウイスキーを飲んでいた。
かれは酒を飲まない。
寝息が聞こえてきた。
彼は終わりだ、と言っていた。
おれからすれば、それはただ始まっていないだけだった。
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