読書をもっとカッコよく、もっとスタイリッシュに!という思いでお送りする「カッコつけの読書術」。今回はお酒を飲んでいるときに読書をするという、少し難易度の高い問題に取り組みたいと思います。
とは言っても家で飲んでいてはなににもなりません。外で飲みましょう。チェーン店の居酒屋ではダメです。そんなところで読書なんてバカのやることです。そこでお酒とともに、「このお酒と一緒に読みたい」という小説をご紹介します。飲みながらページを繰っていく、サイコーにクールじゃないですか。
では、サイコーにクールな1冊目はこちら
号泣する準備はできていた(江國香織)
大人の女性の恋愛を描いた短編集です。みずみずしい筆致にナイーブな心情の表現は、ひとりでしっぽりと飲むにはうってつけです。赤ワインと生ハムをいただきましょう。彼女の描く女性はなんとも肉食的なんですよ。懐に余裕があればローストビーフだとモアベターです。肉食的でもエグみがない。肩の力を抜いて読んでいられるのでその姿は「この人、読書素人じゃないな」と思わせられることでしょう。さあ、どんどんイキっていきましょう。
さて2冊目は
ありきたりの狂気の物語 (チャールズ・ブコウスキー)
僕が一番好きな作家、チャールズ・ブコウスキー。内容は酒・セックス・競馬。以上。B級もB級。B級のキングといってもいいでしょう。フーバー(Fuck Up Beyond All Recognition)なオヤジ、それがチャールズ・ブコウスキーです。さあ、彼の小説を読むときは、バドワイザーなんて飲んでいてはダメです。どうしてもというのなら、そんなものはチェイサーにしましょう。スコッチの水割り。これでいきましょう。つまみなんて贅沢言ってはいけません。スコッチの水割り。黙って飲みましょう。銘柄はあまり高いのではダメです。そんなものは中指を立ててから床に叩きつけてやりましょう。手軽なものがいいです。カティーサークとか。
続いて3冊目。
木枯らしの酒倉から/風博士 (坂口安吾)
日本の無頼派といえば彼です。『堕落論』が有名ですが彼の小説がまた、ナンセンスで気持ちがいいです。サエない一日を飲んで少しでもマシにしようというようなときにオススメです。アブサンがいいですね。個人的にソーダ割りが一番好きなのですが、この小説には似合いません。そうですね、ロックがいいんじゃないでしょうか。アブサンがキツいなら、電気ブランもいいと思います。
4冊目はこちら
異邦人 (カミュ)
人間の「あるべき姿」とはなにか?――常識を根底から覆そうとするこの作品。酒でも飲んでないと気が狂いそうになります。だからといってウオッカなんかをガブガブ飲んでいては品がありません。イキることがそもそもの目的なのでそれではいけません。ここはちょっと背伸びして、バーで行きましょう。まずはビールかジントニックなんかを飲んで、それからこの本を出します。二杯目は強めにギムレットやギブソンをちびちびと飲みながら。三杯目は、シンガポール・スリングやジンフィズあたりがいいと思います。このあたりでなかなか気持ちよくなってきますので、気をつけましょう。あとはもう一杯なにか飲むか、最後にするか。最後はブラック・ルシアンがいいですね。甘くもあるのですがちょっとほろ苦い。そんな感じでバーでガンガンイキってください。
さあ、いよいよ最後です。最後はこちら
お目出たき人 (武者小路実篤)
話したこともない女性を好きになり、「あの子はおれと結ばれるために生まれてきたのだ」とまで思い込んで、アタックしまくって振られ続けるという作品。愉快な物語なので、酒を飲んで愉快に笑い飛ばしましょう。日本酒がいいと思います。冷やで飲みたいですね。僕は天狗舞が一番好きです。以前、ちょこっとだけ石川県にいたことがあるのですが、そのときに飲みまくりました。死ぬほどうまかったです。
以上になります。さあ、この5冊とお酒で、みなさんもどんどんイキって素敵な読書ライフを送りましょう!!
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