昨今、有名人の不倫報道が世間を騒がせています。
個人的に不倫=悪という式にはいささかの違和感を覚えるのですが、「された側」の気持ちを考えるとやはりそれ相応の法的な措置(によるケア)が必要かと思います。
不倫が発覚し、選べる選択肢はまず、「離婚する」か「婚姻関係を継続する」かとなります。後者の場合ならば問題はありませんが、前者の場合にはいろいろと手続きが必要になります。それと財産分与などといった実質的な問題も絡んできます。
協議離婚で、双方が合意すればそれで済むのですが、互いの意見が食い違った場合には裁判所で争うことにもなります。(離婚請求)
離婚請求では裁判で離婚が認められる原因(法定離婚原因)に該当していることが必要です。
法定離婚原因は民法第770条1項で4つの具体的な原因と1つの抽象的な原因を定めており、これに該当すると認められれば離婚が成立します。
4つの具体的な原因とは①不貞行為 ②悪意の遺棄(夫婦関係を継続する上で必要な義務を故意に放棄すること) ③3年以上の生死不明 ④回復の見込みのない精神病 の4つです。
1つの抽象的な原因とは婚姻を継続しがたい重大な事由です。
さて、今回は上記のなかで法定離婚原因のうちの「不貞行為」に該当した場合の離婚について考えていきたいと思います。
不貞行為が原因の離婚では、「された側」は慰謝料を請求できます。ちなみに不貞行為の相手(浮気相手、愛人)にも慰謝料を請求できます。(そうでない判例もありますが)
ここで今回の主題現代版「後妻打ち」を提案したいと思います。
財産分与や養育費は調停や裁判で行い、慰謝料に関しては「不貞行為をされた側」に「後妻打ち」という選択肢を設けたいと考えます。
後妻(うわなり)打ちとは日本の中世から江戸時代にかけて行われた風習で、夫がそれまでの妻と離縁して後妻と結婚するときに先妻が予告した上で後妻の家を襲うというものです。
この制度を設ける意義としては、やはり裏切られたという屈辱的な気持ちはお金では癒せない場合がありますが、不倫をした相手に一矢報いるには裁判で相応の慰謝料を勝ち取るしか方法がないため、裁判が泥沼になりやすい、本来ならばしなくてもよい裁判をすることになる、その際の手間を省くこと(裁判をしない、裁判の簡略化)また不倫をされた側の気持ちを吹っ切るために行うことが目的です。
手続きとしては協議の上で離婚が成立た上で財産分与、養育費、親権・監護権、面会交流権をすべて解決した上で、「された側」は慰謝料を請求するか、後妻打ちをするかを選びます。
後妻打ちを選択した際には離婚が成立してから1ヶ月以内に家庭裁判所に行う日程、時間また場所(後妻の家の住所)、同様の内容を公正証書で後妻の家へ送付します。このときに作成した公正証書は原本を後妻へ、コピーを自分で持っておくこととします。
後妻打ちの日程は、先妻が妊娠していなければ離婚が成立してから100日以内、妊娠している場合は離婚後101日以降200日以内とします。(民法第733条にある女性の再婚禁止期間を考慮して)
この手続きを行わずに後妻打ちを行った場合、器物損壊罪、住居を侵す罪、凶器準備集合罪等、刑法により定められている罪に問われることになります。
後妻打ちの規則として
・後妻または夫、もしくは子どもなど、人に危害を与えない。(守らなかった場合、殺人や傷害の罪となります)
・武器となるものを携帯、所持する場合は鈍器のみとする。(火気・爆発物・水・薬品・毒物・銃などの飛び道具は禁止。この規則を守らなかった場合は使用した武器に応じて刑法により定められているそれぞれの処罰の対象となります)
・制限時間は120分。または3人の「後妻打ち委員会(家事調停委員のうち2名と裁判官1名)」が後妻打ちの中止を命令した場合は120分より前でもその場で中止しなければなりません。
・必ず後妻、夫、後妻打ち委員会立ち会いのもとで行うこと。(子どもはどちらでも構わない)
この4つを設けることとします。
これらの規則さえ守れば、ひとりで行おうが有志を募って複数人で行おうが、なにを壊そうが勝手です。気の済むまで破壊の限りを尽くしましょう。「後妻打ち」と明記しましたが、この権利は男性にもあります。
ちなみに後妻の家が賃貸住宅だった場合の原状回復義務は後妻にあるものとします。また集合住宅の場合は後妻打ちを行う旨を管理人、大家に伝え、掲示板等に告知する義務があります。
後妻打ちにより汗と涙を流したあとでは、慰謝料では得られない「なにか」があるかもしれません。そして破壊しつくしたあとを見れば、己が進むべき道が見えてくるかもしれません。
そんな絶望の果ての一縷の希望に夢を見て、現代版「後妻打ち」を提案したいと思います。ご清聴ありがとうございました。