職場で電話応対とか放送とか、「よそ行きの声」で話すことが増えたのですが、「かわいい」「声が幼い」などともっぱらの評判です。全然嬉しくねえ……
でも、よそ行きの声にしないと「怒ってるの?」と言われ、世の中生きづらいもんです。
ビッキー・ホリディです。
よく一緒に暮らしている人を「空気のような存在」と表現したりするじゃないですか。
僕の感覚では、「じゃあいないほうがよくね?」と思うのですが、当人からすれば「だから一緒にいられる」と。
長年謎だったんです。空気のような存在だからといっても、実際には存在しているわけで、たとえばその人がテレビを見ていたりソファで横になっていたりしているときもあります。自分が音楽を聴きたいとかゲームをやりたいってときにテレビを見ていたり、疲れたからちょっと横になりたいと思ったときにソファにいたり。つまりそういうことです。
まあ、同棲とかの経験もなく、両親や弟とも家でうまくいかなかった僕がなにを言ってもアレなのはアレなんですが。
この間、その件を上司に訊いてみたんです。上司もよく「いてもいなくても変わらない」みたいな感じで言っていたので。
訊くと、「なんやかんやメリットがある」らしいです。
日常の細々したことですが、なんやかんやあるらしいです。あとは職場では言えない愚痴とか悩みとかを聞いてもらってるって、それ、めっちゃ大事じゃん……いてもいなくてもいいじゃなくて、「いてくれないと困る」やつじゃんそれ。
……あんまり参考にならなかったので、最近彼氏にプロポーズされた後輩にも訊いてみました。同棲して3年になり、すっかり落ち着いて、って感じのカップルです。
ラブラブではないと言っていましたが、話を聞いているうちにしっかりとノロケられたので、なんかもう、ごちそうさまでした。
サンプルが少ないのでアレですが、「空気のような存在」とかなんとかいっても、なんやかんや一緒にいて楽しいってことでしょうか。家に帰ってきて、顔を見ると安心したり。
一緒にいるのが当たり前というとちょっと感じが悪いですが、少なくとも「日常」にはなっているわけで、たとえば仲が冷え切ったとしても決定的な事件(日常を壊すできごと)がなければ、別れるというのは相当のエネルギーを使う作業なわけで。
だとすると、ひとりでいるのが当たり前の僕が誰かと暮らすまではいかないでも、デートするとか付き合うとか、そういう話になるとそれは充分に日常を壊すできごとに該当する案件であって、相当なエネルギーを要するわけです。いわゆる質量とエネルギーの等価性がここでも実証されるわけです。
E=mc^2という式によりエネルギーを転換すれば無から質量が生まれる、つまり恋愛においても無から愛が生まれることもありえると言えます。余談ですが。
話を戻すと、「早く結婚しなさい」とか「彼女作りなさい」とか、そういう言葉ってラブラブなカップルに向かって「こんな人のどこがいいの?」とか「別れたほうがいいよ」と言うのと同じくらい野暮というかなんというか。
上司も僕によく結婚をすすめてきます。「結婚したほうが絶対にいい!」と。
「でも(上司)さん、一回失敗してますよね」と僕が返すと、今度は「子どもがいたほうがいい」と。
子どもか……盲点だった……
でもたまに実家に帰ると、両親は僕ら子どもがいなくなったほうがうまくやっているので、じゃあ最初から生まないほうがよかったんじゃね?と。
……あ、振り出しに戻った。